青く澄みきった青空に
白く柔らかな雲が、ゆったりと浮かんで流れていました。
雲の上には、おじいさんが1人住んでいます。
おじいさんは、雲のすき間から見える下の世界を見て、
深いため息をついていました。
「 ふぅ~~~~~~~~~ 」
手に持っている紙には、『 戦い 』とだけ書かれてあります。
雲の下の世界をのぞいてみると、
所どころで戦いが起こっていました。
たくさんの人たちが戦いに加わって、
攻撃したりされたりを繰り返しています。
戦いによる赤い炎と黒い煙は、いっこうにやむ気配がありません。
ある日雲のすき間から、若い男が下の世界から昇ってきました。
若い男は、おじいさんを見つけて言いました。
「 あの・・・、すみません・・・あなたは神さまですか? 」
「 いや、神さまは、あそこにおみえになるよ 」
おじいさんは、雲よりももっともっと高いところにある光を指して言いました。
若い男は、どうして自分がここへやって来たのかを話しはじめました。
「 私の周りでは戦いが絶えず・・・
もう・・・どうしていいのか分らなくなり
神さまに答えをお伺いしようとやってきました 」
おじいさんは、彼の話にうなずいて こう言いました。
「 こちらに来て、自分で下の世界を観てごらん 」
若い男は、おじいさんの言う通り
雲の下の世界をのぞいています。
「 お前は、これをどう感じ どうしたいと思うかね? 」
彼はしばらく、その光景を見つめていました。そして、
「 あそこに 炎の見えない地域がありますよね?緑も豊かだ。
私は、あの場所へ行って、自分の眼で観て、自分の耳で聴き
何かヒントになることはないか・・・とにかく行ってきます!!」
若い男の瞳は、宝物を見つけた子供のようにキラキラ輝いています。
彼を見ているだけで、絶望の中に希望の光を見出すことができそうです。
その話を聞いておじいさんは、
「 それは とても いい考えだね。 さぁ、気をつけて行っておいで 」
そしてこう続けました。
「 お前は 本当に素直な心を持った青年だよ。
お前なら、人々に明るい未来を語れるだろう。
そのことを どうか 忘れないでおくれ 」
おじいさんは、雲の下の世界に戻ってゆく彼に、祝福の光を贈りました。
おじいさんがかけてくれた言葉に、彼の瞳はますます輝き
その輝きは、瞳だけではなく全身から溢れ出しています。
彼は、自分の足で歩き、観て、聴いて、触れて
体験を通して感じたことを活かし、自分の答えを導き出して
この世界をきっと変えてゆくことができるでしょう。
しばらくすると、今度は髪の長い女の人が、この雲の上へ昇ってこようとしています。
何度も何度も懸命に昇ろうとするのですが、上手く昇れません。
よ~く彼女を見ていると、どうやら彼女につかまっている家族が気になって
自分独りでは昇れない様子です。
おじいさんは尋ねました。
「 いったい 君は どうしたいんだい? 」
すると彼女は
「 えぇ、もちろん雲の上に昇りたいのですが
家族が心配で気になって、最後の力がでません。見捨てるわけにもいかないし・・・ 」
そこでおじいさんは
「 家族は、君にすがっていないと 自力では昇れないのかな? 」
と言いました。
彼女は、ハッとした表情をして
「 そんなことは、考えてもみませんでした 」
と言いました。
「 じゃぁ、心配しているということは、
君は家族は自力ではここへ昇れないと信じているのかな? 」
「 ・・・そうですね。彼らならきっと自分の力で昇れますね 」
彼女がそう言うと、家族は下の世界へと戻ってゆきました。
女の人は、おじいさんに手を貸してもらって、ようやく雲の上へと昇ることができました。
「 ありがとうございました!なんだか気分がスッキリしました!
家族をやっと信じることができて、本当に嬉しいっ!!」
と喜びました。
そしておじいさんは、雲のすき間から見える下の世界を彼女に見せました。
しばらく見ていた彼女は、
「 私・・・この世界に光(愛)を贈りたいです。今、心からそう思いました 」
と言いました。
それを聞いたおじいさんは うなずいて
「 それは いい考えだね。
君の光(愛)は、きっと世界の人たち
ひとりひとりの心に届くだろうね 」
それを聞いた彼女は、先ほどとは違う 自信に満ちた顔で微笑みました。
すべてを包み込んでくれる、そのあたたかな笑顔を見ているだけで
戦いなんて皆がしなくなりそうだとおじいさんは思いました。
「 さぁ、気をつけて 行っておいで。
いいかね いつでも 光(愛)を世界に贈ろうと思った
自分への光(愛)を贈ることも忘れないでおくれ。
君は、とても優しい心を持った人なのだから 」
そう言いながら おじいさんは
彼女に祝福の光を贈りました。
女の人が帰ってから しばらくすると
今度は体格の良い大きな男が、自分の力で雲の上まで昇ってきました。
目的である雲の上に着いたというのに
彼の顔はちっとも嬉しそうではありません。
下を向いて困った顔をしています。
おじいさんが
「 どうしたんだい?
君はこの雲の上に来たくて 自分で昇ってきたのではないのかい? 」
すると彼は
「 そうなんです。私はこの雲の上に来たくて・・・
でも、本当に自分が昇ったのか、
自分が雲の上に来るのにふさわしい人間なのか、自信が持てずにいます 」
「 はて。わたしが見た限り 君は1人でここまで来たと思うのだが・・・。
それにここに来るのにふさわしいふさわしくないなんて なぜ思ったのかな・・・?
まぁいい。 ではどうして君は 自分をふさわしくないなんて思うんだい?」
「 はい。私は、ただ自分がしたいように やりたいようにやっているだけで
ここに来るのにふさわしい良い人間であるかどうかは解りません。
私は、ここに来ても良かったのでしょうか?」
「 君は面白いことを言うね。ここに来たかったから自分で来た。
だからこうしてここに居る。それだけではなくて他に理由がいるのかな?
ふさわしい ふさわしくないなんて自分で決めればいいのではないかな?」
おじいさんの言葉を聞き、彼の顔は何かを吹っ切ったように晴れてゆきます。
そしてその体格同様、堂々とした佇まいで
雲のすき間から下の世界をみています。
しばらくすると彼は、おじいさんに言いました。
「 私は、戦い合っている両国のリーダーと交流があります。
今から行って、まずは話をするところからはじめたいと思います。
きっと話し合いの中から、なにか和解のきっかけがつかめるはずです 」
「 ふむ。それはとても いい考えだね。
話し合いによって解決のきっかけをつかめればなによりだ 」
その言葉でますます背筋が伸び
自信に満ちた男の表情はとても誇らしげです。
「 さぁ、気をつけて 行っておいで。
君は、ここに来るのにふさわしい立派な人間だということを
どうか 忘れないでおくれ。
きっと君なら自分の信じた通りやれるだろう 」
おじいさんはそう言って、彼に祝福の光を贈りました。
どの人もみな、自分の意志と力でこの雲の上まで昇ってきました。
そして、自分の眼で世界を観て感じて
自分がどうしたいのか、どうしたらいいのかを考えて自分を信じ
元の世界へと戻ってゆきました。
どの考えもとても素晴らしく、そしてどの人も自信に満ち溢れて輝いています。
その頼もしい後姿を見送りながら、おじいさんは彼らのことをとても愛おしく感じていました。
彼らなら、この世界を変えてゆけると信じて疑いません。
どんな変化をしてゆくのか
おじいさんが雲の世界を観ていると・・・
先ほどまで見えていた炎や煙がおさまり
あちらこちらに それはそれは美しい緑や花たちが顔を覗かせはじめました。
おじいさんは、あごひげをなでながら
何度もにっこりうなずいています。
そしてしばらくして、ずっと離れた地域に炎や煙を見つけて
「 さて、 次はあの場所へ行ってみるかな 」
おじいさんがそう言うと、白い雲はゆっくりふわりと
おじいさんが目をやるその方向へと流れてゆきました。
あなたの近くにも このゆったり雲が浮かんでいませんか?
炎や煙が目には見えなくても
いたるところで、大小さまざまな戦いが起こっています。
戦いは、あなたの周りでも
あなたの心の中ででも起こっているかもしれません。
もしあなたがこの世界( あなたが住んでいる世界 )を変えたいと思い
自分の力で雲に昇ったなら、そしてそこから見える世界を見つめたならば、
自分がどう感じどうしたいのかが 見えてくるかもしれません。
あなたは、『 ゆったり雲 』 にのるのに
ふさわしい素晴らしい人だということを
どうぞ いつも忘れないでくださいね。
おしまい
( 2010.08.17 のセルフヒプノより )
※ セルフヒプノは、自分で行うヒプノセラピー。
お客さまの体験談は載せられないので、自分のを載せています。
゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚ ゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚ ゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚ ゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚
自分の心の傷やパターンを前世・過去世・幼少期などで確認することも
もちろんありますが(お客さまのほとんどは、過去世・前世・幼少期です)
こういった物語やメッセージ的なもの、もう少し抽象的なものなど・・・いろいろあります。
今回の場合は、物語風に出てきましたが、
登場人物の4人すべてが、自分自身だと思っています。
問題や悩みを抱えながらも、自分では何ともできないと思いこみ
自分以外の何かや誰かに答えを求めようとしてしまう自分。
自分のことに集中しなければならないと解っていながらも
大切な人の事が気になって(信じられなくて)
前に進めない自分。
自分の生きたいようにやりたいようにしたいのに、
「 自分なんかでいいんだろうか・・・ 」
と自信を持てない自分。
そして、その自分のすべてを
どこかであたたかく見守り、受け入れ、信じている意識の高い自分。
こういったメッセージで受け取ると、
今の自分が解りやすいですね≧(´▽`)≦
ここでの学びは、たくさんありましたが
やはり大切なのは、自分の中にちゃんと「 答え 」はある。
ということ。
その「 答え 」って
本当の自分はどうしたいのか。
ということなんじゃないかな。
このヒプノは、わたしももちろんだけれども
皆さまにももしかしたら必要な要素がたくさんあるのかもしれませんね。
ここで出てくる「 雲の上 」とは、意識のレベルのこと。
「 自分だけのこと 」ばかりの考えだとなかなか難しい。
わたしたちは、すべてひとつだから。
このブログを読んでくださっている方は、
きっと思いやりのあるやさしい心を持ってらっしゃるから、大丈夫でしょうけどねo(^-^)o
雲の上は、頭も心も静かで感情が穏やかな状態(瞑想するとなるあの心地いい感じです)
そうなると、客観的に自分自身と向き合うことができ
自分の中から湧き上がってくる想い( 「答え 」)だったり、インスピレーションだったりが
受け取りやすくなります。
ヒプノセラピーは、この深くリラックスした状態で行います。
この深くリラックスした状態だと、潜在意識にアクセスしやすいので
そこから今のあなたに必要なメッセージをあなた自身が受けとります。
その時に、人によって過去世とか未来とかいろいろを通して
メッセージが伝えられるんだと思います。
それは、あなたが解りやすいようにね。
大丈夫、あなたからのメッセージをあなた自身が受け取るんだもの。
あなたになら必ず分かる
あなたへの気持ちのこもったあたたかい想いが
メッセージとして伝わってくるんだと思いますよo(^▽^)o
あなたからのメッセージ、あなたが本当のあなたに戻るのを応援してくれるメッセージ。
そう考えると、
なんだか心がふんわりほっこりしてきて嬉しいですよね
いつも最後まで記事を読んでくださって、ありがとうございます
また文章が長くなってしまいました(^▽^;)
お疲れさまでした
今日も気持ちの良いお天気ですね^^
どうぞ素敵な午後をお過ごしくださいませ
Machelir (マシェリィル)
女性が輝いて
この世界を
自由にのびのび
幸せで豊かな人生を
充実して生きるための
お手伝いをさせていただいています。